奇跡って誰かの話を聞いているだけなら楽しい
もしかしたら自分にも起きるかもって頭の中で描いているだけで良いのだから
ところが
奇跡がお客さんの立場から当事者の立場になって行くとき
どうしてその過程の中ではまじかよって思う葛藤は常にある
人は結果を出した誰かの良いところだけ見て判断してしまう
人生どんなことにも楽ばかりではない
そんなこと分かっている
人生は傍観者から当事者になるその移り変わりがある

(2007年5月 韓国のイベント会場のステージにあがることになった)
ストーリー⑲の続き
質屋でやっと作ったお金は一万円に満たなかった
おっさんは
このまま大阪にいると
悪習慣から抜け出せないから山梨の山小屋にでも行って
仕事をしながら人生を立て直したいと言っていた
だから
そこまで行く交通費が欲しいと
こら!!
50のおっさんが24才の若造に金をねだるな!!
俺はお前の親か!!
なんど思ったことか
でも俺も一応牧師という世界に片足を突っ込んでいた
だから教会と言う枠組みで考えれば一応
俺も社会的な立場もあるようなないような
まぁそんなことそのとき考えてはいなかった
ただただ
おっさんを助けたかった
忘れもしない
大阪の高速道路の下の雨のあたらない場所で
おっさんとのやりとりは始まった
「◯◯さん、本当にこれで最後だよ。」
「はい。もうこれ以上迷惑をかけたくありません。」
細かいやり取りは忘れた
でもこれだけは伝えた
「おっさん!
もしこのお金を渡してあなたが立ち直れないなら
学校の前の公園にブルーテントはって1から出直せ」と伝えた
だって
このおっさんだけには
泊まる場所のないとき
一晩俺の部屋に泊めたことがあった
俺も学生の手前
家のないおっさんを寮に泊めていいか校長にも電話した
もちろん断られた
そんなことしたらきりがないと言われた
今考えると正解だが
その日助けて欲しい人達にとってそれは通じない
だから断られたものの
俺も馬鹿だわ
自己責任で部屋にこっそり泊めたこともあった
なんか青春の1ページみたいな日々を過ごしていた
だから
このおっさんにはなんか思い入れがある
病院に行くお金がない時
病院まで行ってお金を払ってあげてこともあった
今考えるとよくそこまでしたなというくらい
本当におっさんを助けたかった
だから
最後のやりとりも本気だ
おっさんに力一杯話した
「俺はホームレスのおじさんたちと関わっているけど
ホームレスになるからといって
人間としての価値は変わらないんだ
あんたもこれ以上人に迷惑をかけるなら
無理矢理にでもテントを公園にはらせて
1から一緒に出直させるぞ」と伝えた
これは強がりではなくて本音だった
恥じさえ捨てれば人はいくらでも再生のチャンスはある
でも
このおっさんも正直だった
「私はホームレスをやるほど勇気がありません。」
確かに俺もそんな勇気はなかった
今から人生が急降下して駄目になったとしても
公園生活から立て直すというところまではいかないようにしたいとは思っていた
おっさんの気持ちも分かる
とにかく
おっさんにやっとつくったお金を渡した
その時の俺の残りの所持金は通帳を見てもあと5000円だった
これがなくなったら俺ももう今度は俺がお金を貸してくれと言わなければならなくなる
それではミイラ取りがミイラになる
おっさんにギターとCDを売って作ったお金を渡して
おっさんの祝福と人生の再生を心から祈った
おっさんを無事に送り出し
翌日
おっさんから
コレクトコールで電話がかかってきた
やっと山梨についたかと思って話を聞くと
おっさんは福井県にいた
ん??
なんで福井から??
続く・・・・